はじめに
「火災保険で屋根は直せますか?」
この質問は、ヤネピカに寄せられる相談の中でも多い内容です。
結論から言うと、
火災保険で直せる屋根もあるし、直せない屋根もあります。
そして、
“直る・直らない”の基準は意外と複雑で、ネット情報だけでは誤解が生まれやすい分野です。
• どこまでが自然災害なのか
• 経年劣化とはどこからなのか
• 写真の撮り方で認定率が変わるのか
• 実際に多い「申請が通らない理由」は何か
これらを、屋根屋の視点で分かりやすく丁寧に解説します。
■ 火災保険で「直せる屋根」とは?
火災保険は名前の通り「火災」だけではなく、風・雹・雪・落下物などの自然災害も対象になります。
ただし、対象となるのは “突然発生した外部要因による破損” に限られます。
① 台風・突風・強風による破損
日本で最も多いのがこのケースです。
対象となる主な症状
• 棟板金(むねばんきん)の飛散・浮き
• スレート屋根(コロニアル)の割れ・欠け
• 瓦のズレ・落下
• 金属屋根の剥がれ
• 雨樋の外れ・変形
• 破風板の飛散
強風は「突発的外的要因」であり、火災保険の本来の守備範囲です。
台風被害は保険認定率が高く感じます。
特に棟板金の飛散は自然災害と判断されやすいです。
② 雹(ひょう)による破損
近年増え続けているのが「雹害」です。
よくある症状
• スレート屋根の凹み・欠け
• 金属屋根の凹み
• 軒樋の変形
• 外壁のへこみ
• 雨戸のへこみ
雹害は「形跡が明確に残る」のが特徴で、写真判定もしやすく、比較的認定されやすい災害です。
③ 雪・落雪による破損
• 雪の重みで雨樋が曲がった
• 落雪で瓦が割れた
• 軒先が変形した
雪害も自然災害として認定されます。
ただし、雪害は「積雪エリアでは建物に耐雪性能が必要」として、認定が厳しくなる場合もあります。
④ 落下物・飛来物による破損
• 風で飛んできた物が屋根に当たった
• 工事現場からの飛散物が当たった
これらも“外的要因”ですので対象になります。
■ 火災保険で「直せない屋根」とは?
ここからは、誤解が特に多い部分です。
火災保険で直せない代表が、
「経年劣化」と「施工不良」です。
順番に解説致します。
① 経年劣化・老朽化
保険で最も厳しく見られるポイントがこれです。
対象外となる例
• スレートの色あせ
• 金属屋根のサビ
• コケ・汚れ
• 棟板金の釘抜け
• 防水紙(ルーフィング)の劣化
• シーリングのひび割れ
• 塗装の剥がれ
つまり、“時間の経過で自然に劣化した部分”は保険では直せません。
なぜ厳しいのか?
火災保険は「予期せぬ災害」から守るためのもの。
経年劣化は「家を所有する人が定期的に管理するべき範囲」と判断されます。
② 施工不良(手抜き工事)
たとえば…
• 新築時の釘が少ない
• 板金の固定が甘い
• ルーフィングの重ね不足
• 瓦の緊結不足
これらは施工会社の責任であり、火災保険では対応できません。
実際には「施工不良のせいで強風に弱かった」というケースも多いのですが、申請では災害より“施工不良”と判断されると保険は下りません。
③ 地震による破損
火災保険ではなく 地震保険の範囲 になります。
• 瓦のずれ
• 棟瓦の崩れ
• 壁のひび割れ
地震によるものは、火災保険単体では通りません。
■「自然災害+劣化」が混じるケースが最も多い
実際の現場で一番多いのが、
災害と劣化の両方が混在している屋根です。
例:
• 20年経ったスレートが台風で割れた
• 古い棟板金が強風で飛んだ
• 劣化した雨樋が台風で外れた
このような場合、保険会社は以下のように判断します。
○ 災害によって壊れた部分 → 保険適用
✖ 劣化していた部分の修繕 → 対象外
つまり、
「災害が引き金になって壊れた部分だけ」認定されるイメージです。
ここを理解していないと、
「全部保険で直ると思っていたのに…」という誤解が生まれます。
■ 火災保険の審査で最も重要なものは「写真」
保険審査では金額の少ない案件は現場を見ない事が多いです。
そのため、写真の撮り方が認定率を大きく左右します。
■ 写真撮影の基本
① 全体写真

屋根全体が写っており、どこに被害があるか分かる写真。
② 破損部の近接写真

割れ・浮き・歪みが分かる写真。
③ 破損の“原因”が分かる写真

• 飛ばされた方向
• へこみの形状
• 破片の落下場所
「災害の可能性が高い」と示せる写真が必要になります。
■ 屋根職人の経験から見る「認定されやすい屋根ランキング」
1位:棟板金の飛散(台風・突風)
2位:スレート・金属屋根の雹害
3位:瓦のズレ・欠け(風災)
4位:雨樋の破損(変形・落下)
5位:破風板・軒天の被害
特に棟板金は、
自然災害の影響を受けやすく、保険の通りやすい部位に感じます。
■ 保険が「ほぼ通らない」典型例
① 築25〜30年以上で、明らかな劣化がある
劣化が強い場合、災害よりも劣化と判断されやすく難易度が高い。
② 釘抜け・サビ・変色だけの状態
災害とは認められにくい。
③ 「どの災害で壊れたか分からない」
原因の特定ができないと難しい。
④ 業者が故意に破壊した疑いがある
■ 火災保険で修理する際の“注意点”
注意① 業者選びが最重要
火災保険申請は、不正申請をする悪徳業者が本当に多い分野です。
よくある悪徳パターン
• 「全部保険で直せます!」と断言
• 「無料で申請代行します!」と言いながら高額な工事を押し付ける
• わざと屋根を壊して撮影する
• 見積もりを水増しする
正しい業者は“直せる/直せない”を明確に分ける
この姿勢が絶対に必要です。
注意② 保険はあくまで“修理費の補填”
「保険金で新品の屋根に交換する」
これは原則できません。
• 原状回復が基本
• 劣化部分は対象外
• 申請は“壊れた部分のみ”
ここを勘違いすると後でトラブルになります。
注意③ 見積書の内容が審査に直結
見積書に
• 災害名
• 被害位置
• 破損内容
• 単価の根拠
これらが明確に書かれているかが重要です。
■ まとめ
火災保険で屋根を直せるかどうかは、
以下のポイントを押さえれば判断できます。
○直せる屋根
• 台風・突風・強風被害
• 雹(ひょう)害
• 雪害
• 飛来物・落下物による破損
✖ 直せない屋根
• 経年劣化
• サビ・色あせ・コケ
• 施工不良
• 地震による破損
◎ 最も多いケース
「劣化+災害」→ 災害部分だけ適用
これを理解することが重要。
◎ 写真が重要
保険審査は写真が可否を左右します。
撮り方ひとつで結果が変わる。
◎ 悪徳業者に注意
「全部保険で直せます!」は危険信号。
屋根の修理などで困った事がありましたら一度ヤネピカにご相談下さい。
皆様からのご連絡を心よりお待ちしております。